2006年12月23日

さすらいの銀次郎(8)

犯人2人と刑事との取調べ。このような状況を想定していなかったので、犯人2人は、打ち合わせもなく、その場で、何とかつじつまを合わせようとしたが、しょせん、焼け石に水。
「今日何軒くらい訪問した?」
(すばやく頭を回転させ、「普通にインターホン押すだけなら、1件で長くても2分、1時間に30件、移動時間を含め、実質3時間で90件、待て待て、中には少し話を聞いてくてたところも織り交ぜて、70件程度か」)
「70件程度です。」
「ほっー。結構回ったな。少しは話を聞いてくれたところはあったか。」
(これにはどのように対応しよう。へたなことを言うと、どこの家だとか、名前はとか・・、刑事の追及は更に厳しくなるに違いない。でもどう答えるにしても、自分は後ずさりして、崖に向かっているようにしか思えなかった。)
「いえ、場所も名前も覚えていませんが、新人さんたいへんね。」と声をかけてくれたところが2・3軒ありました。」
(よっしゃー。無難な答え。)
「では、1丁目のここから始めて、このあたりまではいったのか。」と地図を指差すデカの追求は更に厳しくなった。
「ええ、まあ。」
「そうか。ああ、ここここ、指差したところの半分ぐらいのところ、数で言うと20件ぐらいのところを指して、この家、私の顧客なんだが・・・。」
(地雷を踏むとともに、木っ端微塵に吹き飛ぶ自分がいた。)

刑事は、勝ち誇ったようにこういった。
「もう白状しろよ。」

ついに犯人は、自白するしかなかった。

汚いことしやがって。今回は、訪問する場所を2人別々に指示された時点で、疑うべきであった。実際、自分の顧客を入れておいて、張り込むとはえげつない。こんなことまでして、試されているのか?

その日は、こっぴどく説教を食らった。でも、初日から、サボるのは、今までにいなかった。と言われた時の、指導員の目は。「前途多難」と目の中にはっきりと書いてあったのを今も鮮明に思い出す。

どうもこの「インターホン」作戦は、代々新人に行われてきた儀式であったらしい。1年先輩は、そのことについて事前に何も教えてくれなかった。当然だ。彼らも教えてもらっていないのだろうから。目には目を。銀次郎は、心に誓った。
posted by wind at 16:32 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

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