2006年12月26日

さすらいの銀次郎(11)

【窮地】
心を入れ替えて新規開拓を行い始めたとたん、全身を打ちのめされる事件が起こった。いつものように支店に帰ると、「金次郎が新規で客をとってきたぞ。」という声が聞こえ、その場で立ち尽くしたまま、金縛りにあったがごとく、身動きがとれなくなった。

「なぜ、どうして。」その言葉が頭から離れなくなり、明らかに挙動不審となった。はるかかなたのほうで、「やっと客ができたか、おめでとう」という言葉が聞こえていた

が、ぼーっとしたまま自分の席についた。「もう1人は客できたか。」これも遥かかなたで聞こえた気がしたが、「いえ、まだです。」と消え入りそうな声で返事をした。

とにかくこれで崖っぷちに立たされたことは間違いなかった。後日、金次郎にどうやって客をつくったのかをっ聞いたとき、「それほど回っていなかったけど、あたりのいいところは、何度も行っていた。」という平然とした答え。

こいつとは、もう表面上以外は絶対に付き合わない。と心に誓った。

どういう形にしろ、早く客を作らないと、居る場所がない。といった切実な思いと裏腹に、蒔いてない種から芽が出ることはなく、また数日が過ぎた。

よっぽど哀れに見えたのだろう。ある日、「ここに行ってみれば。」と先輩女性が、ある住所を書いた紙を渡してくれた。「溺れるものは藁をも掴む。」とはこのことだろう。とにかくすっとんで行った。

それは、貯蓄10万の新規客であった。

たかが10万、されど10万といった感じで、金額より「新規の客」という響きだけを、支店に送り込むことを目的にした。

急いで、支店に帰り、報告するが、「やっとか。」という冷たい返事。まあ、10万ぽっきりでは、男性営業マンに費やした研修費用の足しにもならないであろうことは容易に理解できた。

やっとスタート台について、第二幕が始まる。

posted by wind at 20:56 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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